【今日のキーワード】
選んでいない ・ 誰が雇うか? ・ セカンドオピニオン
いきなり小難しいですが、建築士法第2条第8項には
「工事監理」とはその者の責任において工事を設計図書と照合し、それが設計図書のとおりに実施されているかいないかを確認することをいう。
と定義されています。
要するに、責任をもって設計図書の通りにきちんと施工しているか?を確認することです。
今回はこの責任をもって確認することを誰がどのようにするかのお話です。
「監理」の仕事を分かりやすく言うと
・それ!図面と違うよ
・手抜き工事、工事ミスだからやり直し
・断熱工事なのに隙間があるからなおして
というようなことを見つけてきちんと工事をするように指示することです。
そんなことは住宅メーカーの現場監督の仕事だろ!という人はいると思いますが、もっともなことです。
でも、一般的な住宅メーカーの現場監督は、少なくとも数件、または10件以上を同時に担当していることはよくあることです。現場監督は忙しいのです!そんな忙しい現場監督だけで本当に大丈夫なの?工事ミスはありえますよね?
・フローリングに傷がある
・ドアの動きが悪い
・ビニールクロスが汚れている
という程度のことなら、誰でも見つけることはできると思います。
しかし、細かな仕上げの仕方や工事中の場合に、
建築のプロではない人が指摘できる?特に見えなくなる箇所のチェックは重要なのに不安はない?
「担当者は問題はないと言うけど、自分はおかしいと思うんだけど・・・。」というときに丸め込まれやしないか?
というときに「お助けマン」になるのが監理の人です。
では、あなたが家を建てる場合、監理は誰がするのでしょう?
あなたが家を建てる場合には、
①ハウスメーカー
②地元の建設会社
③建築士事務所+地元の建設会社
のどこに依頼するのかを1番最初に決めると思いますが、順番が間違っています。
大事な現場監理なのに、①ハウスメーカー ②地元の建設会社 ③建築士事務所+地元の建設会社 のどこに依頼するのかを決めても、工事の監理を誰がするのかは選んでいないのです。
1番最初に決めることは、現場の監理や交渉を誰がするのか?「あなたがするのか」、「あなたが雇ったプロがするのか」です。
ハウスメーカーや地元の建設会社に依頼すると、自動的に「あなた」が監理をしているのです。つまり、ハウスメーカーや地元の建設会社が自社でチェックはしても、あなたや第三者の立場でのチェックではありません。一方、建築士事務所+地元の建設会社の場合は、設計をした建築士事務所が監理をすることになります。この場合は、あなたが雇った人(第三者)が監理をすることになります。
監理が必要な事例をあげてお話しします。
修繕前(2cm前後の隙間あり)
修繕完了!!
2㎝前後の隙間ができています。
これを見つけて、「少しの隙間でも断熱材で塞いでくれ!」と言って、隙間の修繕を指示してくれないと
断熱性能が低下します。
柱と筋交いの部分に金具がきちんと施工されているかも確認します。
これができていないと本来の耐震性能が発揮できません。
監理の仕事のほんの一端の事例です。
そんなことは、どこの業者でも、きちんと確認をしながら、現場を進めているだろうとお思いかもしれませんが、大抵のことは大丈夫でも、実際に見落としていたり、ごくまれに手抜き工事があったりします。
木材が濡れないように通常は画像のように建物内に置くか、外に置く場合はシートをかぶせています。
しかし、極稀に短期間だとは思いますが、雨ざらしになっていたりするのを見たことがあります。
雨にぬれても、建物内に移動したときに、乾かしてから使えば大丈夫だろうと思ったのかもしれません。
でも、ぬれてしまうと乾かしても、木材は水分を含んでいます。
画像の茶色のシミのようなものは、木材が濡れたことが原因で、10年以上たってから、木材からアクがでてきて、石膏ボードとビニールクロスをとおって、室内から見えるまでになったものです。
いい加減な大工さんや現場監理だと、このようになるときもありますし、新築工事ばかりしている大工さんだと、表面は乾いても木材の芯の部分は濡れていて、後々このようになるということを知らない人もいます。
ほとんどの現場監督や作業員はきちんとした仕事をしていますが、ミスをすることもあります。
そこで、ミスを見つけて修繕の指示をするのを、建築工事をする業者の社員に任せるのか?あなたが雇ったプロの建築士に依頼をするのか?が重要になるのです。
あなたの建てている家が、事例2のような状況になったとき、
「こんな濡れた木材を使うな!乾いても何年も経ってからアクが出る。」と言えるかどうか・・・。
あなたの職場で想像してみてください。
あなたの上司や、口うるさい先輩の少しのミスを指摘して修繕するように言づらくないですか?
重要なのはミスを指摘する人を誰が雇うか?ということです。
あなたが監理者を雇えば、建築工事をする業者に雇われていない人が監理者になりますから、建築現場の指摘や修繕の指示がしやすくなります。
建築工事にセカンドオピニオンをつけるのです。
もう1つ工事が始まってからの大事なことがあります。
誰が交渉をするのか?です。
この問題は工事が始まってから数多くあり、細かな事なので長くなりそうなので次回にします。