こんにちは「理想の家づくり」の福来朗です。
今回は、ビニールクロスの選び方のお話です。
いろいろなところで見てきていると思いますが、自分が選ぶのは初めての方も多いのではないでしょうか?
選び方 ・ 主役と脇役 ・ 100点満点
クロスを選ぶ際、「○○社のビニールクロスがおすすめです。」と言われたら、要注意です!
私なら、「バックマージンが入るのか?」「接待を受けたの?」などと疑います。
ビニールクロスのメーカーというのはいわゆるファブレスメーカー、つまり製品製造のための自社工場を持たないメーカーがほとんどです。分かりやすくお話しすると、ビニールクロスは、カタログにある社名とは別の会社が作っているということです。様々な工場で作られたものを、1つのカタログにまとめているだけなので、メーカーによって○○社はめくれにくい、△△社は耐久性があるということはありません。メーカーにこだわらないで、気に入ったビニールクロスを選ぶことをおすすめします。
織物クロスとかマグネットクロスとかありますが、一般的なビニールクロスでの話になります。
一般的にクロスは、中級品と少し安い量産品に分けられます。
以前の量産品には、機能性がある商品が少なかったのですが、最近では、機能性のあるものも増えてきました。気に入った色柄にお求めの機能性があれば、こちらから選んでも問題は無いですし、はがれやすい・耐久性が劣るということもありません。
(住宅メーカーでの見積りの段階では、中級品程度とか量産品程度と決めるだけで、具体的な品番までは決めないで契約を結ぶとことが多いでしょう。)
白色には大きく分けて3パターンあります。全くの白色、少し茶系の混ざった白色、少しグレー系の混ざった白色です。
全くの白色 | 床材が白色など、どんなパターンにも合わせやすい。 |
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少し茶系の混ざった白色 | 床材や建具、家具類が茶系だと、統一感が出て落ち着きのあるやわらかい雰囲気になる。 |
少しグレー系の混ざった白色 | 床や建具が白色だったり、家具が黒色のアイアン系の場合、シャープな空間になる。 |
家づくりは決めることがいっぱいだから、家具・カーテン・照明などのトータルコーディネイトは後回しに!とお考えの方は、とりあえず、白色にしておけば後からトータルコーディネイトも可能。
柄物を選ぶ場合には、ビニールクロス以外の組み合わせに注意してください。
カーテンが花柄なのにビニールクロスも花柄、床は白っぽいのに壁は濃い色など、組合せによって成功と失敗が分かれやすいので、色ものや柄物にするときはカーテンや家具などの他とのトータルコーディネイトを心がけてください。
少し前から特に増えています。カタログでは、現物が小さすぎたり、全体の柄も載っていますが分かりにくかったりします。大きめのサンプルをもらって、検討することをおすすめします。
最初に、ビニールクロスを主役にするか、床材・建具・家具・キッチンなどを主役にするかでタイプを決めます。
ビニールクロス以外を主役にする場合は、「ビニールクロスは80点くらいでいいや!」というくらいの肩の力を抜いて決める「無難にノーマルタイプ」。ビニールクロスを主役にする場合やビニールクロスを100点満点にするくらい気合を入れて決めるなら「個性重視タイプ」。その間をとった「折衷案タイプ」。
無難にノーマルタイプ | 天井も壁も白色のビニールクロスを選び脇役にして、家具などの他のものを部屋の主役に。流行に流されない、飽きのこない仕上げになります。 |
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個性重視タイプ | 「誰に何と言われようと好きなようにしたい!」というのであれば、人の意見などを気にせずに思う存分、好きなものに決めるべきだと思います。ビニールクロスを100点満点の主役にして、他は脇役に。 |
折衷案タイプ | 個性的にもしたいけど、人の意見も気になるし・・・というのであれば、玄関やホール・LDKなどの家族以外の人が入るパブリックゾーンを「無難にノーマルタイプ」で決めて、子供室や寝室などのプライベートゾーンを「個性重視タイプ」で決めてはいかがでしょうか?特に寝室は、明かりを点けている時間が少ないので、飽きてきても後悔はしにくいと思います。 |
無難にノーマルタイプ
個性重視タイプ
折衷案タイプ
天井と壁を白っぽいビニールクロスにする場合は、天井と壁を全く同じビニールクロスにするのがおすすめ。違う種類のビニールクロスにすると天井と壁の境がはっきりして狭く感じやすくなります。また、見切り材(廻り縁)がない場合は、天井と壁を同じにすると広く感じやすいです。
あえて天井を低く見せて巣籠もり感を出したいときには、天井のクロスを壁よりも濃い色、さらに床よりも濃い色(木目調)にすると巣籠もり感がでます。スターバックスでよく見る手法です。このようにすると、隣の部屋の天井が、目の錯覚でより高く感じる効果もあります。実際に天井高を220㎝くらいに低くするのもいいと思います。
ポイント①
ポイント②
全ての部屋の天井・壁を1種類のビニールクロスにすると家全体での統一感が出ます。「LDKにおすすめのクロスは?」「子供室におすすめのクロスは?」と聞かれる方もいますが、カーテンや家具を変えるとクロスが同じでも、部屋ごとに雰囲気はかわります。
小さな子供がいる家庭で、子供室をキャラクターもののビニールクロスにされる方がいます。子供に喜んでもらおうとされるのですが、「お子様が中学生や高校生になってもずっと喜ばれますか?」、まず嫌がります。キャラクターものにする場合は、貼り替えを覚悟して決めてください。
①クロスは白色無地、カーテンを子供の好きな柄に・・・交換が容易で費用も貼り替えよりも安くなります。
②天井を蓄光クロスに・・・照明を消すと柄がしばらく光ります。昼間は目立ちませんし、高校生になって友達が来ても恥ずかしくはないでしょう。という案もあります。
アクセントクロス(一部だけ色柄を変える)の失敗2例
多用厳禁 | いたるところに一部だけ色を変えるアクセントクロスを採用すると、アクセントにはなりません。また、アクセントクロスが主役、他が脇役という風に決めないと、主役がいっぱいのまとまりのない部屋になります。 |
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巾木の色 |
床:茶色、巾木:白色の場合に、壁を白色以外にすると巾木が目立ちます。コンセントの悪目立ちも注意! |
※、アクセントには、クロスだけでなくエコカラットなどの違う材質も考えて!
部屋にいるときは明るいと照明を消し、暗くなると照明を点けます。この2つの状態でカタログを見て選んでください。照明には、電球色・昼白色・昼光色の3種類があります。照明の色が違うと、クロスの色の見え方もかわります。「こんなはずでは・・・」ということにもなりかねません。また、真っ白のビニールクロスだと、床の色が濃いと色が反射して、少し違った印象に見えてしまうこともあります。
電球色
昼白色
昼光色
国内メーカーのカタログにも海外製品は入っていますのでご注意してください。継ぎ目が分かりやすい、柄がずれている、色むらがあるなどの場合でもクレームで貼り替えの対象にならない場合があります。また、国内物の場合には、「柄がずれます」「継ぎ目が目立ちます」の注意書きがあります。
今回のお話はここまでです。
次回は、「ビニールクロスの機能性」についてお話しします。