Ⅱ型キッチン

Ⅱ型キッチン

Ⅱ型キッチンの成功する決め方は収納とダイニングテーブルの配置がポイント。キッチン・収納・ダイニングテーブルの配置を同時に決めて後悔しない家づくりを!
こだわりふくろう
 

今回は、Ⅱ型キッチンについてお話をします。

 

今日のキーワード

動線比較 ・ ワークトライアングル ・ 床材 ・ コストダウン 

Ⅱ型キッチンとは、シンク台とコンロ台が別々で、並列に並ぶレイアウトのキッチンです。
よく見るレイアウトはシンク台を室内側に、コンロ台を壁付けにするのが多いです。このレイアウトの理由は油跳ね対策で、壁に向かって油跳ねするようにすると、室内の床を汚さないからです。室内側のキッチン(たいていはシンク台)の配置を壁付けするペニンシュラや、壁に付けないアイランド=回遊同線にすることもできます。

動線比較

I 型キッチン 横移動
L 型キッチン 90度の回転移動
Ⅱ型キッチン 180度の回転移動

Ⅱ型キッチンは、I 型キッチンと比べると回転移動があり、同線は短くなります。

 

スペース

I 型キッチンに比べて、キッチンが2つに分かれているので広いスペースが必要となります。

 

メリット・デメリット

メリット

シンクの横とコンロの横の両方に作業スペースがあり、2人で別々の作業スペースを使えるので、夫婦や子供と料理をするのにおすすめです。2世帯住宅にもおすすめです。シンク台とコンロ台のどちらでも室内側・壁側にするかを選べます。作業スペースが広い=その下の収納量が多くなる+その上の収納量も多くなります。

デメリット

シンク台とコンロ台が離れているので、間の床が汚れたり濡れたりしやすいです。I 型キッチンに比べて割高になり、スペースが広くなりやすいです。

サイズ

横幅

シンク台は120~225㎝、コンロ台は150~225㎝くらいが多いです。

高さ

よく使われる計算式は、「身長÷2∔5㎝」の式ですが、同じ身長でも、腕の長さによって肘の高さは違います。キッチンでの作業は、肘を起点に前腕を上げたり下ろしたりしますので、「キッチンの高さ=ひじの高さ-10㎝」の計算式の方がおすすめです。
今住んでいる家や友人の家やショールームなどで、キッチンの高さを計って、少し高めだとか、〇〇㎝低めがいいとかの参考にしてみてください。もっとも大切にしたいのは、使う人の「使いやすい」と感じる使用感です。
マットを敷いてスリッパを履く場合は、これらの分の高さも考慮してください。実際に料理するときに「もう少しだけ低くすればよかった」ということにもなりかねません。ただ、オーダーメイドキッチンでもない限りは、1㎝単位での高さ調整は難しいです。各メーカーでは、80cm~95cmの5cm刻みの展開となっています。スリッパやキッチンマットでの高さ調整という方法もあります。

奥行

壁付けに付ける方は 60~65㎝くらいが一般的です。部屋側に付ける方は収納無しで60~65㎝、収納ありやカウンターありだと90~100㎝くらいです。これくらいあると前への水撥ねも大丈夫でしょう。

 

袖壁・腰壁

キッチンの正面や側面に、床から天井までを壁にする袖壁、床から途中までを壁にする腰壁があります。来客時などに、キッチンを見えにくくするために袖壁や腰壁を付けることがあります。これらは、目隠しだけでなく、水・油跳ね対策にもなります。

設置場所

①距離

シンク台とコンロ台との距離は1人でするか?2人でするか?によって決まってきます。1人で料理をする場合は80~90㎝がおすすめ。2人以上で使う場合は、互いが行き来できるように100~120㎝くらいがおすすめです。特にⅡ型キッチンでは行き来だけではなく、前後で料理をすることがあるので、距離を少し広めにした方が使い勝手がいいです。

②ワークトライアングル

ワークトライアングル(=シンク・コンロ・冷蔵庫を結んだ3角形)の距離の合計が600㎝以内になると、料理時の動線が短くなり、効率がいいといわれています。ただし、動線を短くすることばかりにとらわれると、スペースが狭くなり、かえって料理がしにくくなる場合もあります。2人以上で料理をする場合は、特に注意してください。距離の合計が600㎝以内というのは、参考程度にとどめておくのがいいと思います。

距離

動線

ポイント

1.床

Ⅱ型キッチンの最大の弱点は、シンク台とコンロ台の間の床が濡れやすいので、床が濡れることを前提にした方がいいでしょう。そこで、思い切ってリビング・ダイニングとキッチンの床材を変えてエリア分けをしてはいかがでしょうか?さらに、天井高を10㎝くらい低くして、木目や色を変えるという案もあります。壁で仕切るのではなく、見た目でゆるく仕切れて部屋のアクセントにもなります。

床材①クッションフロアシート

水や汚れに強いです。注意点としてはクッションフロアシートの継ぎ目を作らないことです。「継ぎ目処理するから大丈夫!」という人もいますが絶対にダメです。継ぎ目処理をしててもスリッパなどで擦っていると、継ぎ目が少しずつめくれて下のコンパネが見えてくるだけでなく、つまずきやすくもなるからです。「継ぎ目を作らないように貼ってください。」とはっきりと担当者に伝えましょう。シートを選ぶときにカタログでシートの巾を確認してください。大抵は182㎝くらいあるので継ぎ目をなくすことができるはずです。

床材②塩ビタイル

水や汚れに強いですが、おすすめはできません。理由は塩ビタイルの継ぎ目から水が塩ビタイルの下のコンパネに行き、コンパネが腐りやすいからです。さらに、新築当初は隙間なく貼れていても、経年変化で塩ビタイルは縮んで隙間ができ、水がさらにコンパネまで行きやすくなるからです。

床材③フローリング

あまり水や汚れに強いイメージはなく、キッチンには向かないと思っている人もいますが、キッチンや水廻り向けのフローリングはあります。余談ですが、我が家はごく普通のフローリングを採用しました。水に弱いかと心配に思い、現物サンプルで実験をしました。バケツに水を入れ、フローリングが浮かないように石を上に置き沈めっぱなしにしました。1回目:24時間水につける → 変化なし、2回目:48時間水につける → 変化なし、3回目:48時間水につける → 変化なし でした。不安に思ったら現物サンプルをもらい、水に付けたり汚したりして実験をして、納得してから採用・不採用を決めてはいかがでしょうか?

2.幅

Ⅱ型キッチンはシンク台とコンロ台が分かれているので、それぞれの横幅はI型キッチンに比べると短くなります。アイランドタイプにして回遊同線、シンク台とダイニングテーブルを横並びにするなど様々なレイアウトが I 型キッチンよりもしやすくなります。

3.図面

キッチン本体の幅や長さ・配置によっては、通路の幅が狭くならないか心配ですよね?そんなときは設計者に言って、図面に描いてもらいましょう。昔と違って、パソコンで図面を描いているので簡単に正確な距離が分かります。
「○○㎝」と言われても、実際の距離感がつかめないと思います。だいたいですが、一般的な家の廊下の幅は約80㎝です。約80㎝を基準にしたり、今、使っているキッチンで距離を測って比較したりしてみると分かりやすいです。

 

コストダウン

①袖壁・腰壁
キッチンの壁面の仕上げ材は結構高いので、袖壁や腰壁にするとコストダウンにもつながります。
②水・油跳ねガード
メーカーオプションではなく、通販で購入すると安くなります。キッチンに固定するタイプのオプションより置くだけタイプの通販だと汚れたときの交換も簡単です。

袖壁・腰壁

水・油跳ねガード

 

まとめ

Ⅱ型キッチンは、子供と夫婦での料理におすすめです。ポイントは「床材」をどうするか?です。シンクとコンロの間の床が、必ず汚れますのでご注意を。また、L 型キッチンに比べてデッドスペースができにくいので、L 型キッチンを検討する場合は、あわせてⅡ型キッチンも検討してみてください。
ご自身に合った使いやすいキッチンを作りましょう。

こだわりふくろう
 

今回のお話はここまでです。