【今日のキーワード】
通路=コストアップ ・ 動線計画
今回は、無駄な間取りをしないようにするお話です。
ウォークイン○○やウォークスルー○○や回遊同線を使い勝手よくコストダウンする方法をお話します。
ウォークインだと、ファミクロ・パントリー・シューズクロークがあります。
ウォークスルーだと、シューズクロークやランドリールームで取り入れることがあります。
また、キッチンでは周囲を通路で囲む回遊同線を作ることもあります。
ウォークイン○○でも、ウォークスルーでも、回遊同線でも、必ず通路が必要となります。この人が通るだけのスペースを作るために建築費は高くなってしまいます(通路=コストアップ)。壁や建具が余分に必要になると、さらにコストアップしてしまいます。フレーズだけに憧れて無理に採用してしまうと、コストアップするばかりで、むしろ動線計画が悪くなることもあります。きちんとした動線計画・間取り計画をしましょう。
よくあるLDKの間取りでは、部屋の幅は約360㎝です。この間取りでキッチンを回遊同線にしようとすると、LDKの巾を広げることになります。画像の例だと、2畳=1坪は広くなってしまいます。家の坪単価ほどは高くはなりませんが、50万円近くのコストアップは覚悟した方がいいでしょう。
さらに、同じ形のキッチンでも、キッチンの横面を壁に付けるペニンシュラタイプと、全く付けないアイランドタイプでは、アイランドタイプの方がコストアップします。キッチンの種類にもよりますが、少なくとも10万円以上は高くなると思った方がいいでしょう。
よくある間取り例
回遊同線にするには、余分に1坪は広さが必要
キッチンを I 型ではなくⅡ型にするという方法もあります。Ⅱ型は、シンクとコンロを分けて二か所に配置するので、それぞれの巾が短くなり、キッチンの巾を約360㎝以内にすることができます。ただし、Ⅱ型キッチンは I 型よりもコストアップにもなりますし、カップボードの置き場所が無くなるので、パントリーなどの場所が新たに1.5畳は必要になってしまいます。
失敗のパターンは2つあります。
ウォークスルーシューズクロークを設置する理由は、玄関は来客用、家族は別の場所で靴の脱ぎ履きと靴の保管をするというものです。
しかし、この大前提が崩れてしまったら?最近は、来客が頻繁にくるような家は少ないです。今お住いの家にどれくらい来客はありますか?月に1回や2回のための間取りではもったいなくないですか?来客が少ないのなら、一般的な玄関をおすすめします。
もう1つは、シューズクロークの配置の仕方です。左の画像だとリビングに行くのに遠回りにはなりませんが、右の画像だと遠回りになってしまいます。これでは、玄関で靴を脱ぐようになってしまい、せっかくのウォークスルーシューズクロークを使わなくなってしまいます。
ファミクロのメリットはありますが、デメリットもあります。通常のクローゼットと違ってこちらも通路が必要になってコストアップ、しかし、クローゼットを各部屋に設置するよりも建具の枚数が減るのでコストダウンします。また、クローゼットで多いのは1畳ですが、ファミクロだと3畳程度の広さが必要になります。費用的にはそんなに変わりませんが、ファミクロでの着替え渋滞を考えると、各部屋にクローゼットを作った方が使い勝手がいいと思います。建具代が気になるときは、ロールスクリーンや何も付けないという方法もあります。お客様が入らない部屋こそコストダウンにおすすめです。
0.5~1畳程度の収納であれば、ウォークインやウォークスルーにして収納と同じ広さの通路を設置するのはもったいないです。また、建具よりもロールスクリーンがおすすめです。来客時だけ下げて隠して、いつもは開けっぱなしでもいいと思います。その方が通気性がよくて、湿気がこもりにくくカビの発生を抑制できるからです。
動線ありきで間取りを決めないで、使い勝手優先で間取りを決めましょう。
・まずは通路が無くても間取り計画ができるかを考えよう。
・デッドゾーンを通路にするのはあり。
・目隠しは建具 → ロールスクリーン → 付けない の順番でコストダウンできる。
脱衣室の活用 | 浴室への通路と、脱衣場 + 洗濯物を干す場所にして兼ねた方が、コストダウン + 動線が短くなります。 |
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廊下の活用 | 廊下に洗面台を配置。少しですが採用する家があります。帰宅時の手洗いも兼ねているようです。 |
使い勝手優先 | 少ない事例ですが、リビングダイニングに洗面台を設置します。食事前の手洗い・エアコンの設置場所で歯磨きなどメリットがありますが、慣れないせいか私は違和感があることがあります。ここで、ポイントはおしゃれな洗面台、水が飛び跳ねても汚れないようにキッチンパネルを周囲に張るなどの対策が必要になります。 |
SNSなどでキャッチーなタイトルに憧れて採用したものの、住んでみると後悔する。高くなっただけ。通路を作るために他の部屋を狭くして失敗した。というのは、よくあることです。大事なことは本当に必要な通路か?どうか?をよく理解してから決めることが大切です。