今回は、図面の見方のお話です。
図面の内容を100%理解できる人は、建築業界にたずさわる人でもほとんどいません。
基本だけを覚えて「後は担当者に教えてもらおう!」でいいと思います。
建築図面は、内容ごとに複数ページからなる書類です。順番は、住宅メーカーや図面を描く人によって少し違うこともありますが、ほとんどは以下にお話する順番だと思います。なお、基礎伏図などの覚えなくてもいいと思うページは割愛しています。
住宅瑕疵担保保険の欄があり、どんな保険かの説明があります。
雨漏りなどの家に重要な瑕疵(欠陥)があった場合には、新築から10年間は費用負担なしで修繕してくれる保険です。
必ず確認しておきましょう
もう1つ大事なことは工事期間です。いつから工事を始めて、いつ工事が終わるかを確認してください。アパートやマンションの契約期間や子供の転校手続き、引っ越しの段取りなどに大事です。
家を建てる土地のどの場所に家を配置するかを描いた図面です。
図面の中に「+180」とか「+350」などの数値が記載されていることがあります。このような数値を見つけたら「±0」も探してください。この地点から土地が何ミリ高いか低いかについて書かれています。
車や自転車をとめるスペースや、家と塀との間の通路の巾は要チェックです。
この段階では家づくりに重点が置かれていて、家の周囲にはあまり注意を払っていない人も見られますので、大まかな外構計画だけでも立てておきましょう。家のことだけを考えていると・・・「駐輪場が無い」「庭の排水ができない」などの問題が起きる場合があります。
外部は屋根・外壁や樋などの材料について描かれています。
内部は階ごとの部屋名や床・壁・天井ごとの材料や天井高(CH)、備考などが描かれています。
建築のプロではない人でもだいたいは理解できると思います。
備考欄に記載漏れはないか!?
1回目:ここに〇〇がほしい、2回目:やっぱり△△がほしい、3回目:やっぱり□□にする。といったように家づくりの打合せでは、話が二転三転することはよくあります。しかし、図面にきちんと反映されていなかったり、記憶違いで2回目の△△が最終決定だと勘違いしていたりすることがあります。大事なことは、決めたことが正解ではなく、最終図面に記載されていることが正解です。「担当者に伝えているから大丈夫」と思うのではなく、カタログを見ながら最終決定の図面を慎重に確認してください。文句を言っても、担当者にはこう言われます。「最終確認の通りにしています。」
家の間取りについての図面です。数字が描かれていますが単位はありません。この場合の単位は㎜です。建築の世界では基本は㎜なので単位を描かずに数値だけを描いています。ここで勘違いしてほしくないのは、下の図のような場合は、部屋の壁から壁までの長さを描いているのではなく、壁芯といって壁の中心から壁の中心までの寸法を描いています。壁の厚みの分だけ実際の部屋は狭くなります。今回の場合は、壁の厚みが130㎜とすると、廊下は壁芯から壁芯までの長さが910㎜なので、実際の廊下の巾は910㎜から壁の厚み分を引いた巾になります。
図面を完成させる前に、間取り図面を先に描いてくれることが多いです。家具の配置・コンセントやスイッチの位置・ドアの開閉の仕方を決めるときに活用すると決めやすい図面です。
家の外から家を見た図面のことです。ここでチェックすべきことは、屋根の形状や窓の配置です。平面図や、外観図より後にある建具図面と見比べながら確認してください。
立面図(建物を東西南北から見た状態を描いた図面)に対して、矩計図とは、建物の一部分を垂直に切断した状態を描いたモノです。地面から床まで・天井高・建物の高さなどに関することや、基礎や天井裏などの寸法や材料や下地についてなど、といった平面図では描ききれない細かなことを描いています。
壁の一部分をニッチやタイル張りにするときの高さを確認するのに便利です。
④の平面図をさらに詳しく描いた図面です。
AW-2とかWD-7とかは後の建具図面を見て詳細を確認するための記号です。
AWはアルミ製をPWは樹脂製の窓を表しています。では、アルミ・樹脂複合サッシは?なぜか、AWと描くことがありますので建具図面の材質についての記載を確認してください。建具のWDは木製を表しています。
図面上の距離で大丈夫なのか?
担当者に確認してほしいことがあります。
キッチン廻りの距離や荷物を持って通ることの多い場所の距離についてです。
参考までに、たいていの家の廊下の壁から壁までの巾は780㎜くらいですが、住んでいる家の廊下の巾を計ってみてください。この巾を参考に荷物を持っても無理がないかを確認してください。また、部屋の広さについても、住んでいる部屋のサイズを計ると図面の部屋の広さを把握するうえで目安になると思います。距離や広さは目安を作るのが大事です。
照明とスイッチの位置・コンセントの位置について描かれています。
照明とスイッチについてはドアの開閉と生活同線をイメージしながらスイッチの位置を確認してください。
スイッチの操作は、ドアを開けてから?ドアを開ける前?1つ1つのスイッチについて確認してください。
コンセントは、お持ちの家電製品を使うイメージをすれば確認しやすいです。
コンセントの高さについて描かれていないので要注意です。
通常よりも高い位置にコンセントを付けたい場合は、⑥矩計図かコンセントの図面に「高さ=○○」と描いてもらいましょう。
もう1つ大事なことは、コンセントを複数設置しても、ブレーカーが1つだと同時に複数の家電製品を使うとブレーカーが落ちて停電になることがあります。特に、キッチン廻りです。電子レンジや炊飯器などは消費電力が大きいので、使用する予定の家電製品と消費電力を確認し、ブレーカーが落ちないようなコンセント計画を担当者としてください。
最初にお話ししたように、今回のお話だけで図面が100%理解できるようにはなりません。くれぐれも、恥ずかしがらずに担当者に図面についての質問をして、きちんと納得をして後悔しない家づくりにしてください。
教訓 みなさんは生徒、担当者は先生だと思って恥ずかしがらずに質問しよう。
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